過払い金請求で訴訟になるのはどんな時?
金融会社が取り合ってくれない時
過払い金請求は個人でもできます。請求をする場合、金融会社に取引履歴の情報を開示してもらう必要があります。しかし個人で請求すると、金融会社によっては取り合ってくれなかったり、速やかに情報開示をしてくれないケースが多いのです。
そのため多くの人は弁護士や司法書士などの専門家に依頼します。専門家に頼めば金融会社が取り合わない場合は訴訟を起こしてでも、過払い金を取り戻してくれます。
過払い金をより多く取り戻したい時
過払い金請求は裁判をしないで交渉によって解決するケースもあります。この場合は弁護士や司法書士が金融会社と交渉するのですが、金融会社との間で妥協点をみつけて解決します。金融会社は少しでも支払額を減らそうとするので、交渉が難航します。
交渉のメリットは訴訟よりも早く解決できることですから、難航を避けるために比較的低い金額で妥協せざるを得なくなります。結果的に過払い金を全額取り戻すのが難しくなります。一般的に、交渉の場合は満額の8割程度しか戻ってきません。
しかし訴訟に持ち込めば、金融会社が負けた場合は支払うべき過払い金の利息分まで支払わなくてはならないので判決が出る前に和解を申し込んできます。結果的により多く過払い金を取り戻すことができます。
過払い金請求の訴訟費用はどのくらい?
裁判にかかる実費
では実際に訴訟になった場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。必ず必要になる実費は次の3種類になります。
印紙
いわゆる収入印紙のことですが、裁判の場合は請求額によって印紙の額は増えていきます。請求額とは過払い金の元金の金額になります。例えば請求する過払い金が100万円なら1万円の印紙が必要になります。
ちなみに印紙は訴状の正本(裁判所用)に貼り付けます。印紙には割印を押しますが、裁判所が押すことになっています。
郵券
これは郵便切手のことです。裁判所は訴状を受け付けると、相手側の金融会社に特別送達という方法で訴状を郵送するのです。その時に郵券という切手を貼るので、事前に準備をしておく必要があります。
郵券の枚数は裁判所ごとに違っているので、多めに用意して預けておきます。例えば東京地裁の場合だと、訴状を提出する時に6千円分の郵券が必要になります。裁判所の都合で郵券の相当額を事前に預ける(予納)場合もあります。裁判が終了した時に余っていれば返してもらえます。
資格証明書
裁判では訴状を被告に郵送しますが、被告が会社組織の場合はその代表者宛に送ることになります。そのため訴状を裁判所に提出する時には、被告の金融会社の代表者についての資格証明書を見せる必要があります。
この資格証明書は会社の登記簿謄本が代表的なもので、法務局に行けば取ることができます。その際に手数料として印紙を購入することになります。法務局に行かなくてもオンラインで申請できるので、その場合は法務局の窓口申請より安くなります。ちなみに郵送料込みで500円です。
弁護士や司法書士への報酬
過払い金を取り戻すための訴訟にはすでに説明した実費の他に、訴訟を担当してもらう弁護士や司法書士に支払う費用が必要となります。この費用は着手金、解決報酬金、過払い金報酬の3種類があります。
着手金
過払い金返還の訴訟は半年ぐらいの時間がかかることが多いです。そのため弁護士や司法書士に依頼する時は最初に着手金を支払います。これは仕事を引き受けるための費用で、裁判の成否に関わらず支払うことになります。
相場は1件の業者につき2万円から3万円が一般的です。ただしこれは正式に着手する時に支払うので、無料相談などでは必要ありません。また最近では着手金を必要としない弁護士や司法書士も増えています。
解決報奨金
これは過払い金の返還に成功した場合の報奨金となります。いわゆる成功報酬のことで、裁判に勝った時に支払う費用です。相場は1件の業者につき2万円が一般的です。この報奨金を設定していない弁護士や司法書士もあります。
過払い金報酬
これが本来の成功報酬で、弁護士や司法書士に必ず支払う費用になります。多くの人が弁護士や司法書士に依頼して訴訟しようかどうしようか悩むのは、専門家へ支払う報酬が高いのではないかという不安があるからです。しかし弁護士会や司法書士会ではそのような不安を解消するために、ガイドラインを決めているので安心です。
ガイドラインによると、訴訟によって過払い金を回収できた場合の成功報酬は25%になっています。訴訟によって100万円回収できたら、25万円を支払うことになります。ですから弁護士や司法書士を選ぶ時には、ガイドラインを参考にするようにしましょう。
ちなみに訴訟を起こさないで交渉によって過払い金を回収した場合の報酬は、ガイドラインでは20%となっています。
訴訟費用の負担は誰が負うのか?
訴訟費用にかかる実費については、全面勝訴すれば被告側の金融会社が全額負担することになります。過払い金と一緒に訴訟費用の実費も回収できるのです。ただし金融会社側の言い分が少しでも認められると、その分の実費も減額されてしまいます。また判決前に和解する場合でも、訴訟にかかった実費分は金融会社が支払うのが通例となっています。
裁判にはお金がかかると思っている人が多いですが、実際には実費分は金融会社が負担することになっているのです。
訴訟を起こして過払い金請求するメリット
示談や交渉よりも多くの過払い金が戻る
金融会社にとって過払い金はかなりの負担になります。そのため示談や交渉によって過払い金の返還額を少しでも減らしたいと考えるのです。少しでも早く過払い金を回収したい人にとっては、多少金額が減っても示談や交渉で解決した方がよい場合もあります。しかし高い利子を支払ったのですから、本来は全額返還してもらうのが当然なのです。
多少時間はかかりますが、訴訟を起こして裁判をした方が過払い金を多く取り戻すことができます。ここまで読み進めてきた人ならわかると思いますが、訴訟にかかる実費は金融会社が支払うことになります。成功報酬は回収金額の25%ですが、その分を差し引いても訴訟した方が取り戻せる金額が大きくなる場合があるのです。
迷ったら弁護士や司法書士に相談
テレビやラジオで盛んに過払い金請求のコマーシャルを流しています。それは時効の問題があるからです。過払い金請求できるのは、最後に金融会社と取引をした日から10年と決められています。それを過ぎると請求できなくなるので、盛んにコマーシャルを流して注意を促しているのです。
多くの弁護士や司法書士の事務所では無料相談を受け付けています。過去に消費者金融などで借金をしたことのある人は、過払い金請求ができるかどうかわからない人も多いと思います。そんな場合はとにかく弁護士や司法書士の事務所に相談することです。ほとんどの事務所で無料相談を行っており、過払い金請求ができるかどうか調べてくれます。しかも多くの事務所は無料です。
100万円以上もの過払い金が戻ってくるケースも多いのです。面倒だからとか、取り戻せないと決めつける前に無料相談を利用しましょう。訴訟を起こせば回収できるのです。その金額は本来はあなたのものなのですから、当然の権利として過払い金請求をしましょう。