過払い金請求の手数料とは?弁護士費用の内わけ
過払い金を請求したいと思ったら幾らかかるのかと不安になりますね。料金体系が事務所にもよるとはいえ、手数料の目安だけでも知っていると安心です。手数料に関する内わけを、申し込み前から解決するまでの流れにそって説明していきましょう。
相談料
まずは相談料です。現状の把握や今後の手続きの流れなどの説明を受けます。
過払い金請求の場合は無料に設定していることが多いのですが、過払い金請求の場合は、初回のみならず相談料自体が無料というところも少なくありません。この段階で、総額手数料の目安や、料金体系の確認をきちんとおこないましょう。
着手金
返還額に関係なく発生する報酬です。過払い金請求の案件を担当する専門家が受任した時点から、着手金は発生します。仮に納得のいく結果が得られなかった場合でも支払うことになる手数料です。
事務所により金額の設定にばらつきがあり、無料に設定しているところもあります。
着手金は基本的に前払いです。しかし、実質後払いが可能になる「分割払い」に対応している事務所もあります。
過払い金請求の手続きを依頼したい人は、着手金を支払う余裕がない人が多いという現状を反映しているためです。
報酬金
過払い金の請求が成功した際、発生する手数料を報酬金といいます。報酬金は、返還額に関わらず、貸金業者の数で決まるものと、返還額によって決まるものとがあります。前者は解決報酬金で、後者は減額報酬金や過払い報酬金です。
解決報酬金
返還額に関係なく発生する報酬です。過払い金の返還に応じてくれた貸金業者の数をかけて算出します。借金が減ったり、過払い金の返還がされなかったりしても、支払うことになる手数料です。
減額報酬金
請求する賃金業者に対して借金が残っていた場合には、減額報酬金が発生します。 借入残高から過払い金を差し引いた金額、つまり、減額した借金の額に応じて報酬金が算出されます。
過払い報酬金
返還額により金額が決まる報酬です。過払い金の返還額の数パーセントといった設定をされています。無事に回収できた過払い金の額によって手数料は決まります。返還される金額によって決まるため、成功報酬と呼ばれることもあります。
貸金業者との話し合いで和解が成立した場合と、訴訟となった場合では報酬金は異なり、訴訟となった場合のほうが高くなります。
実費
過払い金請求をする際の、実費が別途必要な事務所もあります。実費とは、通信費、事務手数料、振込手数料などです。事務所によっては実費の請求がない場合があります。事務手数料として一括で請求されることもあります。
過払い金請求手数料の相場は?
料金には上限の値が決められている
日弁連(日本弁護士会連合会)、日司連(日本弁護士会連合会)によって、2011年、報酬金に対する上限がつけられました。不当な報酬金の料金設定をした事務所が増えたため、このような取り決めがされたのです。
相談料
一般的に、弁護士に相談すると、1時間あたりで料金が発生します。時間あたり1万円が相場ですが、初回は無料にて相談を受ける事務所もあります。過払い金請求の場合は、初回に限らず「相談は無料」としている事務所もあるようです。
着手金・基本報酬
着手金の料金は、請求する賃金業者の数によります。請求する賃金業者1件あたり1万~2万円が相場です。ただし、この金額には、事務所ごとにばらつきがあります。相談の段階で確認しておきましょう。
着手金とは別に、基本報酬という名目で手数料が必要になる事務所もあります。基本報酬は、過払い金請求をおこなう貸金業者の数によって決まります。
報酬金
報酬金は返還に応じてくれた貸金業者の件数と、返還額によって金額が決まります。おおむね、次のような料金体系として手数料が請求されます。
解決報酬金
解決報酬金は、過払い金請求手続きが終わると発生する手数料です。返還請求をする貸金業者の数だけ必要になります。貸金業者1件につきの上限金額は2万円で、相場も同程度に設定されていることが多いようです。
減額報酬金
残債がある場合、すなわち、返済中の手続きにおいて、利息制限法に基づき「引き直し計算」をおこなった結果、減額した金額を基準とする報酬金です。例えば、借金が100万円残っていた場合に依頼し、任意整理の結果、過払い金が70万円あり、借金が30万円になった場合。減額した70万円を基準として算出されます。
減額報酬は、手続きにより減額された金額の10%以下と定められています。しかしながら、減額報酬を取ること自体に異論があり、請求するべきではないという意見もあります。そのため、減額報酬を請求しない事務所もあります。
過払い金報酬金
過払い金報酬金は返還される額によって決まる手数料です。お金が戻ってきて初めて生じる手数料のため、成功報酬とも呼ばれます。請求をおこなったことで貸金業者との間に借金がなくなった場合、つまり、過払い金が債務額を上回る場合に発生する報酬金です。
任意の交渉で和解が成立し返還請求が行われた場合は、過払い金の20%以下、訴訟まで発展した場合、5%の上乗せとなり、上限の設定は25%以下です。和解が成立しなかった場合、つまり訴訟に発展した場合は、過払い金報酬金は高くなる傾向があります。
支払い総額を安くおさえて過払い金請求を行うには?
弁護士や司法書士に支払う手数料は一律ではないため、しっかりと費用を確認して比較する必要があります。比較検討のためにも、無料相談の段階で、支払総額の見積もりをお願いしましょう。過払い金の請求は、借金を完済した後と前では、費用の違いがありますので、完済後のケースもあわせてみていきます。
完済後のケース
借金の返済が終わっている場合は、相談料、着手金、基本報酬などの固定料金のようなものは発生しません。成功報酬のみの支払いです。つまり、返済がされなかった場合は、これらの手数料を支払う必要がありません。
基本報酬のような「定額の報酬」が必要になる事務所もあり、その場合は持ち出し費用がかかることもありますので、事務所選びは慎重におこないましょう。
返済中のケース
借金が残っている場合、すなわち、残債がある場合は、任意整理と呼ばれる手続きをおこないます。
相談料
初回に限らず無料のところを選ぶとよいでしょう。しかし、相談料を無料にしている分、他の料金を高めに設定している事務所もあるので、総合的な判断をするよう心がけましょう。
減額報酬
減額報酬自体に疑問を持っている弁護士もいて、減額報酬をするべきではないという意見もあります。そのような事務所では、減額報酬の請求を行うことはありません。そのため、減額報酬を設定してない事務所探すとよいでしょう。
最低費用制度の有無を確認
過払い金の多少に関わらず、最低費用が発生するとして最低費用制度を採用している事務所もあります。その場合、過払い金の額が少ないと請求して返還された金額より支払う手数料のほうが多くなる可能性が出てきます。
弁護士会で上限が決められている報酬以外の手数料、事務所によって自由に決められる手数料ほど慎重に確認をしましょう。
実費その他
実費が加算されるかどうかを確認します。通信費や交通費、実際にかかった費用を加算され、思いのほか高くつく場合もあります。数百円単位のものでも「塵も積もれば山となる」の考え方で、事前に確認をしましょう。
これまでに説明してきた手数料には消費税がかかります。消費税についても心積もりをしながら支払総額を確認しましょう。
手数料だけで依頼先を判断してよいのか?
弁護士か司法書士か
140万円までの過払い金請求であれば司法書士に依頼することも可能です。司法書士への依頼では、着手金を取られないことが多く、総支払額は弁護士に依頼する場合と比べて司法書士のほうが抑えられる傾向があります。
しかしながら、各事務所により料金設定には違いがあり、弁護士だから高い、司法書士だから安いとは一概にはいえません。事前に見積もりをお願いして確認をしましょう。
初期費用だけに囚われない
着手金が不要な事務所のほうが、返還後に請求される報酬の金額が高額に設定されることが多い傾向があり、総額の支払い金額が、思いのほか高くなる場合もあります。報酬金の料金設定は、返還された金額を基準とするため、依頼した段階で分かりにくいともいえます。実際、いくら戻るのかは、利息の引き直し計算をするまでわかりません。
無料相談の段階で、依頼を検討したいと思った事務所に対しては、事前に見積書をもらっておくとよいでしょう。その際、支払額の、最低でもいくら、最高でいくらといった、支払い総額の幅を確認しておくとより一層安心ですね。
人としての相性も
無料相談の段階で、人としての相性を見極めましょう。今後の人生にも関わる大切なことを依頼するのですから、人としての相性、自分自身が心を開けるかどうかもポイントです。過払い金の回収率が100%とならなかった場合、裁判を起こすのか、それとも和解するのかといった難しい判断をしなくてはならないケースもでてきます。
そのような状況で「依頼する側の気持ち」に寄り添ったアドバイスを受けられそうかといった視点も大切にしましょう。